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判断を誤らない為のポイント

2018年3月27日

ビジネスの場に限らず、人生は常に選択の連続だと言えます。お昼にハンバーグ定食を食べるかエビフライ定食を頼むかという様な重要度の低い選択もあるでしょうし、一戸建てを購入するかマンションを購入するかといった自分の人生に大きく影響するような選択もあるでしょう。

ビジネス場においては、自らの判断が及ぼす影響範囲は上司、部下、会社、取引先、顧客などに広がり、動くお金も個人の支出と比較して桁が変わります。今回は、判断や決断を下していく上でのポイントについて考えてみたいと思います。

正しい判断をする為には

正しい判断をする為に重要な事を文章にしてみると、「可能な限り多くの情報を収集して、その情報を分析、取捨選択しながら判断する事」・・・といった様なものになるかと思いますが、これが実際にはなかなか難しいものです。なぜなら、多くの場合、情報を収集する時間的猶予が無かったり、得られる情報が極端に限られてしまっていたり、何かと制約が入るものだからです。

先ほどの「可能な限り多くの情報を収集して、その情報を分析、取捨選択しながら判断する事」なんていう事が教科書に書いてあったとしても、結局のところ実際にはあまり役に立つ事はないでしょう。しかしそれでは結論としてあまりにつまらないので、正しい判断をする為に役に立つポイントをひとつ、あるエピソードを交えながらご紹介しようと思います。

離陸後の飛行機の機内で・・

ある日の夜、羽田空港発・千歳空港行の最終フライトの話です。とは言ってもこれは架空の話。2003年にTBSで放送されていた『GOOD LUCK!!』という木村拓哉さん主演の全日空を舞台にしたドラマのワンシーンです。
登場人物は、厳格で冷静なベテランの香田機長(堤真一さん)、そして熱くて真っ直ぐな性格の新海副操縦士(木村拓哉さん)です。

この飛行機は先述の通り、羽田発千歳行の最終フライトです。離陸して少しした頃、ある乗客が「すぐに着陸しろ!引き返せ!」騒ぎ始めます。騒いでいたのは飛行機に乗る事に恐怖心を持っている、飛行機嫌いの国会議員でした。この国会議員はこれまで何期も務めている重鎮です。この報告を受けた香田機長は「直ちに羽田に引き返して着陸する」という判断を下しました。

ここでまでの情報を整理してみましょう。
1.国会議員は飛行機が怖い
2.国会議員が飛行機を引き返せといっている
3.国会議員に飛行機を引き返させる法的権限はない
4.飛行機を引き返せば、数百人が当日中に千歳へつけなくなる

この情報は全て正しい情報であり、間違った情報ではありません。
パイロットの二人はこの情報を基に判断を下さなければなりません。

ドラマの話に戻りますが、香田機長の引き返すという判断に新海副操縦士はもちろん猛反発します。
「いくら国会議員が戻れと言っているからといって、その他数百人の乗客にも色々な事情がある。結婚式や葬式の出席に間に合わないかもしれない、大事な商談があるかもしれない、このまま千歳へ飛ぶべきです!」

そんな新海副操縦士対して香田機長はこう言いました。
「引き返せと騒いでいるのが国会議員じゃない普通のおじいさんだったとしたら『すぐに引き返すべきだ!』とお前は俺に言っていただろう。国会議員のおじいさんも、普通のおじいさんでも、高齢の方がパニックを起こせば心臓発作を起こしかねない。人命より優先されることなどない。冷静な判断を行え。」

新海副操縦士はこう言われて何も言い返せませんでした。

このエピソードが教えてくれること

今回、新海副操縦士が行った判断に大きく影響したのは、騒いでいたのが国会議員という権力を持った乗客だったという事です。権力を持っているからといってワガママを許すべきではない!というある種の正義感が働いてしまったと言えます。正しい判断を行う為に何より重要なのは、とにかく『冷静になる事』であると言えます。情報に余計なフィルターが掛かってしまっていないかどうかは、冷静になってみなければわかりづらいものです。

相手が好きな人物だから、または嫌いな人物だから、取引先が怒りそうだから、納期まで日が足らないから、お金がないから・・など、我々の周りには判断を歪めさせるフィルターが無数にあります。何か判断が必要になった際に、このエピソードが皆様の頭にふとよぎり、少しでも良い方に進めば幸いです。

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