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価格決定の仕組みを考える

2017年3月30日

物やサービスの販売価格は、なんとなくで決まっているものではなく、価格決定に至るまでの過程が必ず存在します。まずはこの流れを紐解いていきます。

価格決定の流れ

販売価格の中身を、最もシンプルな方程式で表現すれば「原価+粗利=販売価格」となります。
製品を製造しているメーカーでも、製品を仕入れて販売している商社や代理店でも、この点に大きな違いはありません。

先ほど方程式という表現を使いましたが、X+Y=Z という数式の場合、どれか2つの数字が確定すれば自ずと最後の1つの数字が確定します。例えば以下のような仕組みです。

①<原価と粗利が先に決まり、販売価格が最後に決まるパターン>
原価が100円かかる
粗利は10円確保ないといけない
→販売価格は110円に設定しよう

②<販売価格と原価が先に決まり、粗利が最後に決まるパターン>
販売価格は競合会社の120円に対抗する為110円に設定する
原価は100円かかる
→粗利は10円確保できる

③<販売価格と粗利が先にきまり、原価が最後に決まるパターン>
販売価格は競合会社の120円に対抗する為110円に設定する
粗利を10円確保したい
→原価は100円にしよう

お気づきかもしれませんが③のパターンはありえません。
商品化を検討する段階であるならまだしも、販売価格を検討する段階で原価が決まっていない事など普通はないからです。

価格交渉のポイント

購買を担当する皆様は、購買品の価格をなるべく安く抑えなければなりません。

ここで、先ほどの方程式、「原価+粗利=販売価格」を思い出して下さい。表現を少し補足すると、「売り手の原価+売り手の粗利=買い手の購入価格」となります。つまり、買い手が安く買う為には、売り手の原価か、あるいは粗利のどちらかを削らなければならないのです。

価格交渉というと、粗利をいかに削らせるかという考えに行きつきがちです。
なぜなら、買い手側が売り手側に対して、原価に対して何らかの影響力を発揮するのが難しいと考えられているからです。
「原材料の仕入先をもっと安価なA社に変更して原価を抑えて、その分の価格を安くして下さい」だとか、「2名体制での同行営業をやめて1名にする事で営業原価を抑えて、その分の価格を安くして下さい」などと口出しするなど、こんなに非常識な事はありません。

一方、粗利を削る為のロジックとしては、「大量に買うから、その分1個あたりの粗利を削っても採算あいますよね?」とか、「複数年契約にするので、その分管理費などが浮きますよね?」などのボリュームメリットによる価格交渉がよく知られています。

ですが、真に注目するべきはポイントは、実は原価の方にあるのです。

売り手側の原価を引き下げる方法

先述の通り、売り手側に対して取引先の変更や営業方法の変更を要求するといったような話は論外です。
ですが、このような方法を取らなくても売り手側の原価を引き下げられる方法があります。

最もシンプルなのは、品質を下げて原価も下げる方法です。無論、安かろう悪かろうにするという事ではなく、買おうとしているものがオーバースペックになっているのであれば、適正なスペックにするという事です。例えば印刷物であれば、紙の厚みを再検討し、少し薄い紙にしたりという方法が考えられます。

また、製品の品質を下げずに、売り手の製造原価を下げる方法も存在します。この方法については、次回のコラムで実例を交えてご紹介します。

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