2017年1月17日
コンサルティング業界には、その守備範囲や専門領域ごとに様々なコンサルタントが存在します。
戦略コンサル、総合コンサルと呼ばれるような比較的守備範囲を広くとるコンサルタントや、人事コンサル、物流コンサル、そして我々のような購買コンサル、コスト削減コンサルなどの専門特化型のコンサルタントです。
今回テーマにあげた『理解と納得は違う』という事は、どの分野のコンサルティングにおいても共通して、常に意識していなくてはならない事です。
理解と納得の違いとは?
『理解する事』と『納得する事』の違いを考えてみます。
『人は誰でも平等に1年に1歳年を取る』という事を理解していない方は恐らくいないと思いますので、年齢を例にしてみましょう。
2歳の子供と、1歳の子供がいます。
2歳の子供は、1歳の子供と比較して2倍の長さの人生を歩んできました。
彼らは1年後、1歳ずつ年を取り、それぞれ3歳の子供と2歳の子供になりました。
1年前、2倍の差があったはずの彼らの人生の長さは、1.5倍差に縮まりました。
『あれ?彼らは本当に平等に1歳年を取ったのだろうか?』と思った方は、何が起こっているのか頭では理解出来ているのに、納得には至っていない状態になっています。
この話を会社に置き換えると、下のような話になります。
年商2億のA社と、年商1億のB社があります。
年商2億のA社が前年比50%成長して年商3億になるより、
年商1億のB社が前年比100%成長して年商2億になる方が大変です。
至極当たり前の話で、理解も出来れば納得も出来るかと思います。
どちらの例も、数式に直してみると言っている事はほとんど同じなのですが、説明の順番や『年齢』という余計な情報がフィルターとなって納得する事を妨げたのです。
納得する事を妨げる要因は様々ですが、最も多いのはネガティブな感情です。
例えば、『これを実行すると会社の利益率は改善するかもしれないが、現場としては仕事が増えて大変になるから嫌だ!』といった具体的な感情もあれば、『今のやり方でうまくいっているのに、変えるのはなんとなく嫌だな・・』というような漠然とした感情もあります。
会社は経営者だけでは動かせない
コンサルタントが実際にプレゼンを行う相手先は経営者や役員層である事が多いですが、実際に提案内容を実行していくのは幹部社員や現場の社員です。従業員が納得した状態を作れなければ、コンサルタントの提案がどれだけ優れていようと絵に描いた餅です。そして従業員の納得度については特に注意を払う必要があります。従業員は会社の判断、上の判断という事で納得した姿勢を見せてくれますが、実際には納得まで到達していない事もあります。
成功の為に
経営層が従業員に対して明確なメッセージを発信できる様支援するのも、時としてコンサルタントの役目となります。
このメッセージは、『改善案を実行する事で営業利益が20%増加する』というような数字上のゴールを示すだけの物ではいけません。
なぜその改善案を実行するのか、実行する事で現場にどのような負担が生じるのか、改善が成功した時に会社や従業員にはどのようなメリットが生まれるのかなど、なるべく具体的である事が望ましいです。
コンサルタントが目指すべきは全員の納得です。社内外には様々な利害関係があるので全員の納得というのは現実的に非常に難しいテーマですが、ここを目指す事で確実に成功へ近づく事は間違いありません。